休日の昼下がり。
やることをやって、小休止。ホッとしたい瞬間。
ちょっとした合間に、コーヒーを一杯、いれまして。
ゆっくりしながら読みたい、一冊のマンガがございます。
それが、こちら。
スキマ時間に読める短篇集
『コーヒーもう一杯』は、一話完結型の短篇集。それぞれの物語に「コーヒー」が登場し、話に彩りをもたらしたり、舞台装置として働いたり。
恋愛、家族関係、不思議な出来事など、内容はさまざま。しかし、いずれもどこか優しげなストーリーが展開され、読み終えた後には思わず「ホッ」とします。
また、作者である山川直人さんの版画のようなタッチの絵も特徴的で、すごく印象に残るもの。
個人的に大好きな1ページ。
いろいろな人の生活の様子、人間関係が断片的に描かれているようで、すてき。
全体的に角ばっているようにも見える絵柄ですが、全く無骨さのようなものは感じず、むしろ「柔らかさ」を覚えるような、不思議なタッチ。こういう絵柄が好みの人って、結構いるんじゃないかしら。
温かく、懐かしく、切ない物語
本作は1冊の中に複数の物語が収録されており、それぞれで全く違った登場人物の人間模様が描かれています。つながりはなく、いずれも独立した話であるにも関わらず、読後感はどこか似ていて、ふしぎ。
共通点と言えば、その「読後感」と、必ず登場する「コーヒー」の2点。
このコーヒーがまた、“良い味”を出していて、「おお……!」となるのですよ。
行間で挟まれる、“Coffee Break”もまた、すてき。
作者さんは「ことば」で伝えることも得意なんじゃないかな。
絵本のような、童話のような、短いことばの中にメッセージを強く込めるような。
そういう意味では、読み方によっては「絵本」として読んでみても違和感がないように思います。ちょろっと読んで、内容は理解できるのだけど、もやもやが残る感じ。それも悪い意味での心残りじゃなくて、どこか心地の良い読後感。
本作『コーヒーもう一杯』は、全5巻。
まったりと過ごしたい週末にでも、コーヒーカップを片手にいかがでしょうか。