「アニメを未視聴の人でも楽しめるよ!」という評判を耳にして、ファーストデーに観に行ってきました。『たまこラブストーリー』。
結論:もっかい観たい。
いずれ、円盤を買います(宣言)。
僕と『たまこまーけっと』
まずはじめに、僕はテレビアニメ『たまこまーけっと』を1話たりとも観ておりません。放送当時、PVを観ても興味を惹かれず、周囲に観ている友達もおらず、完全にスルーしていた格好。
知っていることと言えば、
・商店街が舞台らしい
・餅屋らしい
・主人公の女の子のCVは洲崎綾さんらしい
・なんか変な喋る鳥がいるらしい
このくらい。全くの知識ゼロではないけれど、他は全く知りませぬ。どんな物語展開なのか、他にどんなキャラクターがいるのか、なども含め。餅つきで世界を目指すのかな?鳥が何らかの契約を迫ってくるのかな?
そんな僕がなぜ、映画『たまこラブストーリー』に興味を持ったかと言えば、映画館で見た予告でビビっときてしまったことによる。
こいつはくせえッー!
青春恋愛モノのにおいがプンプンするぜェーーッ!!
どことなく、純情系少女マンガの香りがした。キュンキュンくるタイプの。
ならば、行くしかあるまい。アラサー間近の20代男子には、明らかにキュンキュン成分が不足しているのです。枯渇すれば、死に至る。生きねば。
そんなわけで、テレビ版は全く知らないにも関わらず、さらに、前情報を調べることすらあえてせず。
ほぼまっさらな状態で、「幼なじみの男女の恋愛映画らしい」という漠然とした予告の情報だけを頼りに、映画館へと足を運んでまいりました。
まっすぐな青春恋愛映画
結果、死んだ。キュン死した。どんなものでも、過剰摂取はよろしくない。
近年稀に見る、超正統派の青春恋愛モノでした。
変に奇をてらうよりは、こっちの方が断然良い。あまりにストレート過ぎて、かえって新鮮さすら感じたレベル。これだよ、これでいいんだよ……!
本筋であろう主人公2人の恋物語としても楽しめるのだけれど、そこに周囲の人間との関係性もエッセンスとして含めて描き出しているような。
約90分と短いながらも、一口でいろんな味わいを楽しめる作品でした。
具体的には、双方の家族との関係性、もしくは、友人と商店街の人たちという、周囲が見守り、見守られる構造。
恋愛モノとして2人の距離感にキュンキュンさせられつつも、周りの人たちに包み込まれているような、ほんわかほっこり感もたまらなかったです。どことなく、朝の連続テレビ小説を思わせるような。
“後悔の苦さは何かをした証”。
マスターの台詞が沁みるでござる。めいいっぱい、味わいます。
あとあと、物語が前後半の二層構造になってたのも、おもしろいなーと。
前半は、もち蔵サイド。幼なじみの女の子に想いを伝えようかどうしようか。もどかしさと女々しさ、真っ赤になる様子がかわいい。
周りの席で見てた女の子と一緒に、「ほわああああ!」なんて叫びそうになっちゃったじゃないですか。ってか、女性の観客がめっさ多いんですが。なぜこのアウェイ感。
後半は、たまこサイド。幼なじみの男の子に告白されて、意識しちゃって、きゃー!ってなる感じがかわいい。悩んで、友人に相談して、揺れ動く想いが徐々に定まっていく過程が丁寧に描かれていて良かった。
こっちでも、周りの席の女の子たちと「きゃああああ!」って叫び……本当に女性のお客さん多いんだけど、なにこれこわい。
そんなこんなで、一人で観に行ったにも関わらず、めちゃくちゃ楽しみながら観ることができました。キュンキュン成分も無駄に摂取できたので、僕は大満足です。
あと、かんなちゃんかわいい。彼女目的でテレビ版は観るべきなのか、どうなのか。映画→テレビはありなんでしょうか?ご助言ください。
それと映像面では、常に「カメラ」を通したような奥行きと焦点のぼかし、部分部分の明暗を意識した、手の込んだ映像表現がなされているように見えた。
これは、テレビ版もそうだったのかしら?
映画単品でもイケる!
前情報なしで観たことについては、全く問題がなかったと思う。OPも含めた序盤の時点で、「これからこいつらが出てくるよ!」的なキャラクター紹介が自然とされていたし、その関係性も分かりやすく示されていたので。
商店街の人々も含めればかなりの人数ではあったけれど、どちらかと言えば、主人公2人の家族と、その友人関係がメインとなっている風。名前はそちらさえ分かっていれば大丈夫な形であり、互いに名前で呼び合っていたこともあり、意識せずとも覚えられた。
ただ一人、みどりちゃんに関しては、初見ではちと立ち位置が分かりづらかったような印象。2人の関係の狭間で揺らいでいるようには見えるけれど、「えっと、どっちに嫉妬してるの?」と、複雑な感情の向かうところが見えづらかった。
映画を観終えた後、軽く背景を調べてみて、ああなるほどと、とりあえず合点はいったけれど。観ていて疑問を感じたのは、そのくらいかしら。あとは、節々のギャグくらい?
テレビアニメの劇場版といえば、基本的には前提としてテレビ版を観ていることが重要になってくる場合が大半だと思う。総集編なんかでも、急に場面がぶっ飛んで「!?」となることはありありだし。
そんな中、本作は前提なしでも、十二分に「ひとつの作品」として楽しめる、非常に出来の良い映画作品だと思います。
幼なじみゆえの近さと遠さ、友人関係、周囲の人間が見守る構造、変わるもの変わらないもの。そのような、物語作品の諸要素がふんだんに取り入れられていて、ものっそい楽しめました。
おそらく、普段はアニメを観ないような層の人でも、割とイケる作品なんじゃないかと思います!もちろん、キャラクターデザインが受け入れられるかどうか、最初の短編の好みなんかも関係してくるだろうけれど。
でもそれを考慮しても、本当にストレートでド直球で、だけど大勢の人が楽しめるような、エンターテイメント作品であるような印象を受けました。
もし迷っている方がいるのであれば、ぜひオススメしたいところ。
知識ゼロの僕でも楽しめましたよ!
トピック「たまこラブストーリー」について