「二次元が初恋じゃダメですか!?」という名言を残した声優さんがいました*1。
“叶わない恋”というフレーズだけを見れば、どこか少女漫画チックで乙女心をくすぐるもの。
しかし、その相手がマジで存在しない架空の存在、偶像、キャラクターだとしたら。……二言目には、「オタクきめえ」という罵声が飛んできそう。いいじゃん!むさいおっさんが乙女ゴコロ抱いたって!
一方、キラキラした青春の甘い思い出としても語られがちな「恋愛」。
それだって、そんな明るく眩しいだけの存在でもないと思うのです。むしろ、ヒトの醜い部分としてさらけ出される、ごちゃぐにゃした、どろっどろの粘っこい感情。
現実の「恋愛」においては、そのような要素も介在するのではないかしら。
そんなわけで、メンヘラとか、ヤンデレとか、ストーカーとか、ネガティブな方向に振り切った「ラブソング」と他、変わりモノのラブソングを集めてみた。ボカロ要素が多め。
「Rainbow Girl」/となさ
ごめんね 画面から出られないの 私は2次元の女の子
どんなに気持ちが高ぶっても 貴方に触れられない
ごめんね 本音が口に出せないの 私は2次元の女の子
決められた台詞通りにしか 貴方と会話出来ない
2chの作曲スレ発祥、ニコニコ動画などで広まり、人気になった曲。
「二次元嫁」視点の歌詞は新鮮でした。その発想はなかった。
「ループする初恋」/cosMo@暴走P
- アーティスト: cosMo ×真優
- 出版社/メーカー: ハッチ・エンタテインメント
- 発売日: 2009/03/25
- メディア: CD
- 購入: 3人 クリック: 43回
- この商品を含むブログ (10件) を見る
電子の 賽の河原 初恋じゃない初恋
L∞Pするプログラムの箱の中で…
ワタシが欲しいのは ハッピー「エンド」じゃなくて
その先にある 幸せな時間(トキ)を 二人で過ごしたいの
ギャルゲーの主人公に恋する、名無しのモブキャラ視点の恋の歌。「Rainbow Girl」とちょっと似ていなくもない。
一般的な「ループもの」と違うのは、幾度となくゲームをプレイしようとも、全ての選択を網羅しようと、分岐点すらないというね……。サブキャラがメインに昇格するのとは訳が違うのです。切ない。完全版を所望する!
「五月の蝿」/RADWIMPS
僕は君を許さないよ 何があっても許さないよ
通り魔に刺され 腑は零れ 血反吐吐く君が助け求めたとて
ヘッドフォンで大好きな音楽聴きながら 溢れた腑で縄跳びをするんだ
僕は君を許さない もう許さない もう許さないから
リリース当時はあちこちで話題になっていた、RADWIMPSの問題作。様々な解釈ができそうだけど、歌詞をそのまま受け取っちゃっていいのではないかしら。
MVもぶっ飛んでる。でも、あの赤い液体をバシャバシャやりながら演奏するのは楽しそう。
いや、それにしても。“こぼれた腸でなわとび”の狂気がやべえ。
「ラブソング」/amazarashi
未来には期待しないよ 息も出来ないよ 夜の闇の中 不安で眠れない
愛されるだとか 愛するんだとか それ以前に僕ら 愛を買わなくちゃ
消費せよ 消費せよ それ無しではこの先 生きてけない
消費せよ 消費せよ それこそが君を救うのだ
こんな「ラブソング」もありですよ、という別視点を提供してくれる曲。これも等しく「愛」のうた。たぶん。
amazarashiの曲の中でもお気に入り。サビの単語の羅列が心地良い。
「遁生」/エレファントカシマシ
「体の調子は何うなんだ?」
「寄生虫にやられてる。」
「お前に女は必要か?」
「ペットのようなら飼ってもいい。」
この中では変化球かもしれない。主にジャンルと曲の長さで。
どこか「ラブソング」とは言い難いけど、上記歌詞が引っかかったので。
「妄想日記」/シド
焼きもち焼きな私を許して あなたのゴミを漁ります
他にも女がいるのね 私だけを見ていて欲しいの
浮気はよくないわ 約束したじゃない 朝まで止まない
無言電話で 無言電話で 今日も寝かせない
カラオケで友人(女子)が歌っているのを聴いて知りました。
思わず、「うわあ」って呟いてしまった。いや、割と好きですが。
「絵の上手かった友達」/ピノキオP
絵の上手かった君が描いていた
架空の世界と もう会えないのかな
塗り潰されて 元に戻らない日々
絵を描く姿が好きだった
絵を描く姿は好きだったから
普通にあるんじゃないかと思ったら意外となかった、男の子を「振った」女の子の視点。失恋ソング。
全体的にメロディが切なく、身に沁みるのでござる。男女の友情、とは。
「恋愛部活動記録」/くちばしP
始まりはきっとバラバラだね
非対称 communicate
君は嘘つき 私も同じ
罪を背負っている
『ニセコイ』*2的な何か。
途中のボカロラップがたまらなく好きなんだけど、評価されてないんですよね……。
「Scarlett & Mercury」/けーだっしゅ
誰も気付かないから切ってみました
彼が愛をくれないから切ってみました
いっそどっか消えよっかって言ってみました
そしたら心どっか飛んでってバイバイバーイ
ざっくざっくと刻みます。リストカットですね、分かります。
直接的と言えばそうなんだけど、そこに見て取れる言葉選びが好み。
「終わりの世界から」/麻枝准 × やなぎなぎ
追いつけない だから能力使う 過去へとリープ
そこでまたきみと出会い また恋をするんだ
ぼろぼろに泣いてきみは探していた
突然いなくなったあたしの面影を
早く帰ろ でも能力は一方通行 未来には飛べなかった
ひとつの物語をそのまま歌った曲。歌詞はストレートだし、動画をそのまま受け取ることもできる。
でも一方で、本楽曲収録のアルバムを一連の物語として見ると、異なった方向で考えられておもしろくもあります。