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ダンジョンは珍味の宝箱や!モンスターを喰う『ダンジョン飯』に舌なめずり

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九井諒子『ダンジョン飯』1巻(KADOKAWA)より

 

2015年上半期、各所で話題となった『ダンジョン飯』をようやく読んだ。

 

Amazonのレビューなどを見る限りでもやたらと評価が高く、いったい何がおもしろいんだろう……? と思っていたけれど――うん、これは確かにおもろい。爆笑とか物語展開だとか、そういった意味での「おもろい」ではなく、「興味深い」という意味合いで。

 

一口に言えば、「少年時代にRPGの世界を夢想していた人」におすすめできる内容かと。

 

 

よく見るRPGのパーティー、よくあるダンジョンものかと思いきや 

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九井諒子『ダンジョン飯』1巻(KADOKAWA)より

 

戦士、僧侶、魔法使い、鍵師(盗賊)、その他数名という、RPGなどでよく目にするバランスの取れたジョブパーティー。しかしある時、探索中に遭遇したドラゴンによって主人公(戦士)の妹(僧侶)が“喰われ”てしまい、さあ大変。

 

パーティーを庇った妹の機転によって助かった彼らは、腹の中にいる妹を助けるべく再度、ダンジョンへ挑戦する。しかし、元いた数人の仲間はパーティーを離脱し、金はなく、腹も減った。今ある装備を売って換金する方法もあるが、それではダンジョンの踏破が難しくなる。

 

――それなら、ダンジョン内のモンスターを喰って、自給自足すればいいんじゃね??

 

タイムリミットは、妹が火竜の胃袋で消化されきってしまうまで。植物、獣、亜人、不定形――多種多彩なモンスターを調理し“喰い”ながら、目指すは“喰われた”妹の救出。はてさて、彼らは無事に妹を助け出し、火竜を美味しく喰うことができるのか――?

 

……って、あれ?

 

モンスターの生態系を知れば、美味しく食べられ……る……?

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九井諒子『ダンジョン飯』1巻(KADOKAWA)より

 

本作の魅力は何かと言えば、ありきたりと言えばありきたりなRPGの「モンスター」に対し、それぞれ具体的な「性質」や「特徴」を付け加え説得力を増すことによって、調理における“それっぽさ”を演出している点にある。

 

「このモンスターはこういった攻撃パターンと身体の特徴を持っているから、きっとあの部位は喰ってもうまくない」「スライムの天日干しは高級食材」「動く鎧も喰えるんじゃね?」などなど。

 

外から見れば「なにいってんだこいつ」状態だが、“それっぽい”解説を挟み、僕らもよく見る“それっぽい”クッキングコーナーを経て、“それっぽい”料理ができあがってしまえば、「なるほど!そうやって喰えるのか!」と納得してしまう、ダンジョンマジック。なにそれこわい。

 

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九井諒子『ダンジョン飯』1巻(KADOKAWA)より

 

言うなれば、モンスターの「設定」にこだわり抜いた作品でもある。

 

一般的なRPGでは、“レベルを上げて、物理で殴れ”ば倒せてしまうそれぞれのモンスターに関して、「喰おうとしたら、どこが喰えるんだろう?」「どんな味がするんだろう?」と、“弱点”以上の新たな設定を付け加えた資料集的な。

 

それゆえに、主人公はモンスターの知識や生態系に強い関心を持っているキャラクターとして描かれているし、「あの鎧、喰えるんじゃね?」と自然に口に出して仲間からもドン引きされるという。この“鎧”の話は本当におもしろかったので、ぜひ本編で読んでみてくださいな。

 

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九井諒子『ダンジョン飯』1巻(KADOKAWA)より

 

そうは言っても、やっぱり原材料はおどろおどろしいモンスター。パッと見は普通の料理だけど、明らかにレシピに並んでいる字面がぶっ飛んでるし、細部もいろいろとおかしい。

 

「騙されるな!元はゲテモノだ!」を思い出させてくれる、「うへ〜」だの「あぁ〜」だのといった効果音(悲鳴?)が個人的には好きです。

 

ダンジョン飯 1巻<ダンジョン飯> (ビームコミックス(ハルタ))

ダンジョン飯 1巻<ダンジョン飯> (ビームコミックス(ハルタ))

 

 

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